今回のテーマは、「自社の事業をマクロに見る」です。
「マクロに見る」とはどういうことでしょうか?
日本語で言うと、鳥瞰する、俯瞰する、ということです。
要するに、全体を見渡してみることです。
IT系の企業は、このマクロな視点が欠けがちです。
ある特定の技術や製品にばかり目がいってしまい、事業全体を見通
せる人がなかなかいないのが現状です。
では、どうやって事業を見渡せばよいか?
まず、やっていただきたいのは、「市場規模」の分析です。
以下は、あるソフト会社の社長との会話の一部です。
斉藤「社長の製品は今業界のシェアはどれくらいですか?」
社長「うーん、シェアねぇ。はっきりはわかりませんね。」
斉藤「では、この製品の市場規模はどれくらいですか?」
社長「市場規模?考えたことないなぁ。」
斉藤「・・・。」
実は、このような会話、意外と多いんです。
市場規模を把握せずにビジネスをやるこということは、目隠しで
エスカレーターに乗るようなものです。どこで終わりになるのか、
どこが頂点なのかわかりません。
市場規模によって、売上の限界値が決まってしまいます。
当たり前ですが、市場規模が10億円しかない分野では、売上30億円
を達成することは不可能です。
市場規模によって、とるべき戦略が変わってきます。
例えば、小さなニッチ市場で独占的な地位を目指すのか、それとも
大きな市場で大手のおこぼれをもらいながら生きるかでは、戦略は
全く違ったものになります。
ですから、本来、自社の事業の市場規模を知らずに、戦略を立てる
ことなんてできないのです。
市場規模等の情報は、以下のような所から入手できます。
・公的機関(経済産業省などはいろんな市場規模の調査結果を出しています)
・富士キメラ総研(IT系に強いです)
・矢野経済研究所
・国会図書館
・マーケティング・データ・バンク(MDB) などなど
市場規模が把握できたからと言って安心してはいけません。
市場は生き物です。常に変化しています。
そこで、マーケティング上、気をつけなければならないとても重要
なポイントがあります。
それは、「ライフサイクル」です。
「ライフサイクル」はどこかで聞いたことがあるのではないかと思
います。
商品や人間にライフサイクルがあるように、全てのものにライフサ
イクルは存在します。
ライフサイクルには、次の5つの時期があります。
(1)導入期
(2)成長期
(3)成熟期
(4)斜陽期
(5)安定期
実は、このライフサイクルを分析することは、戦略上とても重要な
ことなのです。
なぜかと言うと、ライフサイクルが変わると取るべき戦略が変わっ
てくるからなんです。
ちょっと極端な話かもしれませんが、「成長期」の市場では戦略が
なくても売上は伸びます。市場全体が伸びていますから、少しぐら
い経営の舵取りを誤っても、それほど問題にはならないのです。
しかし、市場が「斜陽期」に入ると話は全く違ってきます。
斜陽期に入ると競合が増え、競争が激化してきます。そうなると、
他社と同じことをしていては、生き残ることはできません。
そこで必要になるのが、【選択と集中】です。
いかにして、専門特化して、資源を集中させるか。これこそが、
「斜陽期」を勝ち残るポイントです。
選択と集中は、よく言われている言葉だと思います。
今、日本の産業はほとんどが「斜陽期」に入っています。つまり、
様々な分野において、選択と集中が要求されるのです。
これは、トレンドとかではなく、ライフサイクルに応じた戦略なの
です。原理原則ですから、どの時代にでも通用する考え方です。
また、自社の主力商品(業態)がライフサイクル上、どの時期にあ
るかを把握することは非常に重要です。
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■ライフサイクル
導入期→成長期→成熟期前半(転換点)成熟期後半→斜陽期→安定期
※導入期~成熟期前半までは・・・需要>供給
※成熟期後半以降は・・・需要<供給
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成熟期における転換点を境に、商品(業態)の需給バランスは逆転
します。
つまり、導入期から成熟期の前半は、需要が供給を上回り、成熟期
後半以降は供給が需要を上回ります。
もうおわかりだと思いますが、成熟期以降つまり供給が需要を上回
り出すと、商品提供者(競合)が増え、ユーザーの選択肢が広がる
ため、そう簡単には商品を買ってもらえなくなります。
そのため、自社の主力商品が成熟期に入っている場合は、なるべく
早めに導入期から成長期前半の商品(業態)を開発し、提供してい
く必要があります。
この取り組みができていないと、いつまでたっても儲かるビジネス
はできません。
常に競合との泥沼の価格競争になってしまいます。
要するに、ビジネスにおいて大事なことは・・・
「将来伸びるであろうビジネスをいかに見つけ、他社に先駆けて
用意することができるか」
ここに経営者の手腕が問われるのです。
成長期後半から成熟期前半になると、No.1のポジションを確立でき
た企業は、とても儲かります。
逆に言うと、他社に先駆けて市場に参入し、No.1のポジションを確
立しないと、高収益オンリーワン企業をつくることはできません。
[チーフコンサルタント 斉藤芳宜] |